【イベントレポート】Squadbase Community Meetup #0


2026年9月30日、Squadbaseのユーザーコミュニティ・ミートアップ「Squadbase Community Meetup #0」を、東京・丸の内のNTTデータ新東京ビルで開催しました。Public Betaの公開を記念した、はじめてのコミュニティイベントです。当日は約30名の皆様にお集まりいただき、熱気あふれる会になりました。
本記事では、当日の4つのセッションの内容を発表資料とあわせてご紹介します。記事の最後では、11月に開催予定の「Meetup #1」や分科会など、コミュニティの今後の予定もご案内しますので、ぜひ最後までお読みください。
「データを使って、仕事をもっと良くする人たち」のコミュニティが始動
オープニングでは、司会の長橋からSquadbaseのユーザーコミュニティの立ち上げについてお伝えしました。コンセプトは「データを使って、仕事をもっと良くする人たちのコミュニティ」です。データ分析の専門家でなくても、AIを使ってデータから意味を見出し、判断や行動につなげられる。そうした実践者同士が事例やノウハウを持ち寄り、「データを使うのが当たり前」な働き方を広げていく場を目指します。
コミュニティでは、以下の3つを目指します。
- 共有する:活用事例やユースケース、ナレッジをユーザー同士で共有し合う
- 届ける:現場のインサイトやフィードバックをプロダクトチームに直接届け、開発に活かす
- 広げる:実践者のリアルな声を発信し、データ活用の輪を広げる
今回を「#1」ではなく「#0」としたのには理由があります。正式ローンチ前のいま、初期からSquadbaseを使ってくださっている皆様と一緒に、コミュニティをつくり始めたいと考えたためです。
データの自動運転へ。「見に行く仕事」を消し、データが先に語りかける
プロダクト&デモセッション
「Squadbaseのプロダクトビジョンと今後のロードマップについて」
Squadbase 共同創業者 CEO 柴田 直人

最初のセッションでは、CEOの柴田が、Squadbaseが目指す「データの自動運転(Data Autopilot)」と、そこに向けたロードマップを紹介しました。
データの自動運転にも「レベル」がある
車の自動運転には、「どこまで車に任せられるか」を示すレベルが定義されています。Squadbaseではこの考え方をデータ業務に当てはめ、チームの目標としています。
- Lv0 頼んで待つ:AI以前。データを扱える人に頼み、結果を待つ
- Lv1 SQLが消える:生成AIの登場で、SQLを自分で書かなくなる
- Lv2 つくる作業が消える:AIに頼むとダッシュボードができ、人は結果を確かめる
- Lv3 見に行く仕事が消える(いま):データが変化すると、AIから知らせが届く
- Lv4 見る行為が消える(次):データを見なくても、AIが議論すべきことや次の一手を提案してくれる
Squadbaseはいま、Lv3の完成度を高めている段階です。また、Squadbaseは「同じKPIを共有するチーム(Squad)」単位で使うことを想定してつくられています。個人でも全社でもなく、パイプラインを追うマーケティングチームのような単位です。そうすることで、「どの数字が動いたら何をすべきか」という文脈を、解像度高くAIに渡せるからです。
SlackやNotion、Figmaのように、小さなチームで使い始めて横に広がっていく。Squadbaseもまさにそういう形で、チームで一つのKPIを追いながらデータの変化に気づき、みんなで成果を上げていくためのツールです。
3か月で69のアップデート
7月から9月にかけて、Squadbaseは69件のアップデートを公開しました。セッションでは、主なものを振り返りました。
- Public Beta(8月31日):無料プランから誰でも使い始められるようになりました
- ビルトインLLM:APIキーなしで、ダッシュボードに要約やチャットなどのAI機能を組み込めます
- テンプレート:作成したプロジェクトを、そのまま他のチームへ展開できます
- カスタムコネクター:パートナー企業のサービスを、コネクターとして公開できます
さらに、イベントが開催された9月28日の週には新機能をまとめて公開しました。
- Automation:データの取り込み、集計、AIエージェントによる分析、SlackやTeamsへの通知を自動で回せます
- データアウトプット:ダッシュボードに加えて、スライド、スプレッドシート、ドキュメントを作成し、ローカルにダウンロードできます
- コネクションの差し替え:テンプレートの接続先を自分のデータに差し替えて使えます
- 公開データセット:Squadbase DBを、コピーせず読み取り専用で共有できます
ダッシュボードを作って、それを写真に撮ってパワポに貼っているという使い方をよく聞いていたので、そもそもそのフォーマットで出力できれば、そのままデータ業務として完了できるんじゃないかと。
GAでは「見る行為」を消しにいく
Squadbaseは10月末に正式版(GA)の公開を予定しており、そこではLv4を目指します。AIのおかげで、ダッシュボードはこれまでよりはるかに速くつくれるようになりました。しかし、30枚つくっても毎朝開くのは2〜3枚。「つくるのは速くなったが、見るほうは昔のまま」であり、変化に「気づく」ことがまだ人の仕事として残っており、それがボトルネックになっています。
そこで開発を進めているのが、新しいUX「Data speaks first(データが先に語りかける)」です。変化があればAIから知らせが届き、人は提案された次の一手を選ぶだけ。その結果、ダッシュボードやスライドができあがります。AIに任せたあとも、元のテーブルから成果物までの流れをたどって、根拠を確かめられます。会場では、このデモ動画も上映しました。
セッションの最後には、少人数のユーザーと一緒にプロダクトをつくる分科会の構想も紹介しました。
その機能いらないよとか、その機能とてもいいですねとか、そういうところも開発チームと話しながらプロダクトを作っていきたいと思っています。
「生成AIでダッシュボードをつくりました」は本当か
活用事例セッション①「長年、趣味でBIダッシュボードをつくってきた人間がSquadbaseを使ってみた」
株式会社Hakuhodo DY ONE TXソリューション本部 ナレッジマネジメント部 部長 兼 第三開発部 部長/株式会社博報堂テクノロジーズ BIソリューション開発部 廣本 嶺さん

廣本さんは2017年に社内のBI専門部署に配属されて以来、10年近くにわたってBIダッシュボードをつくり続けてきた方です。2019年にはTableauのコミュニティ資格「Data Saber」を取得し、社内コミュニティの立ち上げやブログの執筆も続けています。2026年に入ってSquadbaseと出会い、現在は機能検証や社内での利用推進、顧客への提供支援に取り組んでいます。
生成AIでつくるダッシュボードの落とし穴
最近は、生成AIにデータを渡して一言頼むだけで、見栄えのよいダッシュボードができるようになりました。「ダッシュボード、もうこれでよくない?」という声も聞かれるようになっています。しかし廣本さんは、そこには落とし穴があると指摘します。
たとえば、データベースと連携していないデータでは、更新やセキュリティに問題が残ります。指標の定義をAI任せにすると、組織で基準がそろいません。見た目は整っていても、「なぜそのグラフなのか」「データを見てどう行動するのか」を説明できません。さらに、HTMLファイルで共有すれば、ダッシュボードが外部に漏れるリスクもあります。
そのうえで廣本さんは、Squadbaseの価値を「SaaSサービスの使い勝手・機能性・ガバナンス」と「AIの柔軟性・創造性」の両立だと話します。データコネクターによる接続、変更履歴の管理やGitHub連携、ユーザー管理といった、SaaSとしての基本機能がそろっています。そのうえで、データ定義や設計、修正をAIに任せられる柔軟さもある、という評価です。
社内ではSquadbaseを「次世代型のAgentic BI」と紹介することが多いそうです。ただし、本音は少し違うといいます。
本音では、Squadbaseは「ダッシュボード作成もできるAI分析アプリ」だなと。ダッシュボードの延長というより、AIプラットフォーム上にダッシュボードの機能もある、という解釈のほうがしっくりきています。
「ダッシュボード以外」の便利な使い方
後半では、廣本さんが実際に試している、ダッシュボード作成以外の使い方を3つ紹介していただきました。
- マニュアルページの作成:ダッシュボードの利用者は、操作方法やデータの定義でつまずきがちです。そこで、操作方法や裏側のデータ定義をまとめたページを、チャットでの依頼だけで作成しています。問い合わせ対応や資料作成の時間が大きく減る見込みです
- データの取り込み・修正の仕組み:マスターなど手動運用が残るデータ向けに、CSVをアップロードする画面や、表を直接編集できる画面をつくり、Squadbase DBに反映しています
- サマリー作成AIエージェント:テックブログのアクセス状況をまとめたダッシュボードについて、サマリーと「次に書くとよいテーマ」の案を、毎週自動で更新・メール送付しています
発表の最後には、Hakuhodo DY ONEの公式テックブログ「Tech Waves」も紹介していただきました。Squadbaseをはじめ、さまざまなソリューションの検証結果が発信されています。
「感覚仕入れ」から脱却し、不良在庫率は7.3%から3.0%へ
活用事例セッション②「『感覚仕入れ』からの脱却:リードタイムと不良在庫の可視化で変わったブランドリユース経営」
株式会社LUCA EC事業戦略責任者 畔柳 信吾さん

畔柳さんは、自動車メーカーやリクルートで法人営業を経験し、スタートアップでは販路開拓から事業売却までを手がけてきました。エンジニアでも、AIに長く触れてきたわけでもないという畔柳さんが、Squadbaseで経営の判断基準を変えた事例です。
一点物の在庫は、「売れるまでの日数」が見えない
LUCAは、国内の法人向けオークションでモンクレールやバレンシアガなどのハイブランド品を仕入れ、メルカリShopsやeBayで販売しています。扱う商品はすべて一点物で、仕入れの時期も種類もサイズも異なります。
出品の効率化には一括出品ツール「WASABI」を使っていました。しかし、商品が売れるまでに何日かかるのか、不良在庫がどれだけあるのかは分かりませんでした。そのため、在庫に資金がどれだけ留まっているのかがブラックボックスになり、仕入れは感覚に頼るしかない状態でした。
2時間でつくった2つのダッシュボード
畔柳さんは、WASABIから書き出したCSVをもとに、わずか2時間で2つのダッシュボードをつくりました。
- 不良在庫:商品CSVからWASABIへの登録日から365日以上売れていない在庫を抽出。件数と金額の両方で不良在庫率を出す
- 受注リードタイム:登録日から初回受注日までの日数を、ブランド別・モール別・カテゴリ別に集計する
これをもとに、「不良在庫を洗い出す→法人向けオークションにまとめて出品して現金化する→回収した資金を、売れるまでが短い商品の仕入れに回す」という業務フローをつくりました。
在庫は資産なので、株式と同じようなイメージです。売れないものは早めに損切りをして現金化して、売れるもの、つまりリードタイムが短いものに資金を投資していくということです。
「1年以上」の滞留に気づき、売却を優先
当初は登録日から180日以上を不良在庫として見ていました。しかしその中に、365日以上売れずに残っている在庫が多いことが分かり、まずはそこから売却を進めました。
リードタイムのダッシュボードでは、「どのブランドのどの商品が、何日で売れているか」が分かるようになりました。たとえば当時の分析では、全体の受注リードタイムの中央値は30日でした。5月に売れたシャツに限ると、11日で売れていました(この2つは対象が異なる値で、改善前後の比較ではありません)。いまは季節やカテゴリごとの実績を見ながら、仕入れる商品を相談しています。
不良在庫率は7.3%から3.0%へ
その結果、365日以上滞留している不良在庫の率(件数ベース)は、6月末時点の7.3%から、9月末時点では3.0%まで下がりました。畔柳さんは、すべてがダッシュボードの効果ではないとしながらも、「判断の基準が変わったことが大きい」と振り返ります。
次の目標は、対象を180日以上の在庫に広げ、より早めに動かすことです。現在はCSVを月に1回取り込んで更新しています。今後はコネクターで直接連携し、「通知を見て判断するだけ」の状態を目指しています。
LUCAの取り組みは、導入事例記事「『感覚仕入れ』からの脱却」でも詳しく紹介しています。
ダッシュボードを、業務につながる「データの出口」に
会場スポンサーセッション「現場が、自分でダッシュボードをつくり変えていく時代へ」
株式会社NTTデータ テレコム・ユーティリティ事業本部 デジタルエクスペリエンス事業部 データドリブン統括部 部長/エグゼクティブITアーキテクト 本村 昭太郎さん

最後は、会場をご提供いただいたNTTデータの本村さんのセッションです。本村さんはSnowflakeを中心にデータ基盤の構築に携わってきた技術者です。現在は新規事業として企業のデータ活用を支援する事業を推進しています。
「ダッシュボードはCSVダウンロード機能」という課題
本村さんは、データ基盤の支援のなかでBI製品を導入しても、ダッシュボードが使われない場面を何度も見てきたといいます。データをそろえても、その出口まで届かない。そんな違和感があったそうです。
せっかくきれいなダッシュボードを作っても、画面はほとんど見られず、皆さんCSVをダウンロードして手元で分析していました。ダッシュボードが「CSVをダウンロードするための機能」になってしまっていることが、我々にとっては大きな課題でした。
Squadbaseでは、一人ひとりが自分のダッシュボードをつくれます。共通のダッシュボードは使われなくても、自分でつくったものなら使われ方が大きく変わる。そこに可能性を感じたといいます。UXの完成度やアップデートの速さも、本村さんが評価した点です。
NTTデータとSquadbaseは、6月に対話型データ可視化AI領域での協業を発表しています。NTTデータの顧客基盤に向けて、プロダクトを渡すだけでなく伴走支援まで含めて展開していく予定です。データエンジニアやBIエンジニアを介さなくても、現場がデータを使える世界をつくることが狙いです。
NTTデータのテックブログでも、Squadbaseを実際に試した検証記事を公開しています。
懇親会では、開発中の新しいUXを体験

懇親会では開発中の「Data speaks first」を実際に触れる端末を用意し、Squadbaseの開発チームも参加しました。新しいUXへの感想や、日々の使い方を、参加者の皆様から直接伺うことができました。
次回のお知らせ:キックオフ、分科会、そしてMeetup #1へ
今後のコミュニティの活動として、以下を予定しております。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 10月 | コアメンバー キックオフミーティング |
| 11月めど | 分科会「プロダクトロードマップを考える会(仮)」 |
| 11月後半 | Squadbase Community Meetup #1 |
具体的な日時や内容などの詳細は、決まり次第お知らせしていきます。Squadbaseを日々お使いいただいている方も、これからデータ活用に挑戦したい方も、ぜひお気軽にご参加ください。
おわりに
プロダクトのビジョンから、現場の活用事例やTips、事業成果の紹介まで、はじめてのコミュニティイベントで、皆様がそれぞれの場所で「データを使って仕事を良くする」ことに取り組んでいることを、あらためて実感しました。ご登壇いただいたスピーカーの皆さん、会場をご提供いただいたNTTデータ様、そしてご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
Squadbaseは10月末の正式版(GA)に向けて、「Data speaks first」の開発を進めています。11月のMeetup #1では、その後の進化や、新たな活用事例をお届けできるはずです。次回も、ぜひ会場でお会いしましょう!