「感覚仕入れ」 からの脱却 - リードタイムと不良在庫の可視化が、ブランドリユース事業のキャッシュフローの生命線に

大道 元貴
大道 元貴
Sales Developer

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概要

株式会社LUCAは、モンクレールやバレンシアガなどのラグジュアリーブランドを扱うブランドリユース事業を展開し、オークションで仕入れた商品をeBay・メルカリShops・BUYMAなど複数チャネルで国内外に販売しています。

在庫・出品管理には一元管理ツール「WASABI」を採用していましたが、純正の機能では「仕入れてから売れるまでのリードタイム」や「不良在庫の実態」を分析しきれず、仕入れ判断が感覚頼みになっていました。そこでSquadbaseを活用し、受注リードタイム分析と不良在庫管理のダッシュボードを構築し、データドリブンな仕入れと健全なキャッシュフロー経営を同時に実現しました。

同社の経営とデータ活用を支援する畔柳 信吾さん(以下畔柳さん)に、感覚頼みだった仕入れがデータで変わるまでの道のりと、ダッシュボードが経営の「生命線」になった理由を伺いました。

事業の全体像 - 複数チャネルで世界にブランド品を届ける

まず、どのような事業をされているのか教えてください

畔柳さん

中古のハイブランド品を再生して、販売プラットフォームを通して国内外に売る事業をやっています。仕入れは、古物商許可を持つ法人だけが参加できる国内のオークションからです。そこで仕入れた商品をきれいにして、海外も含めて販売しています。販路はヨーロッパ、アメリカ、南米まで広がっていますね。

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販売の仕組みはどうなっているのでしょうか?

畔柳さん

WASABIという一元管理ツールを使っていて、そこに商品を登録すると、eBay、メルカリShops、BUYMAといった複数の販売チャンネルに一括で出品できます。例えばeBayで注文が入って在庫がゼロになると、他のプラットフォームの在庫も自動で連動してくれます。複数モールで同時販売するリユース事業には欠かせないツールです。逆に言えば、販売に関するデータはすべてWASABIに集まってくる、という構造になっています。


抱えていた課題 - リードタイムと不良在庫のブラックボックス化

WASABIを使っていて、どこに課題を感じていましたか?

畔柳さん

大きく2つありました。1つは、仕入れから受注までのリードタイムがブラックボックス化していたこと、もう1つは、不良在庫がどれだけあるのかが見えていなかったことです。

これがブラックボックス化していると何がダメかというと、普通に会社が潰れるんです。適当に仕入れたものが1年後に売れるのか、2日後に売れるのかで、資金の回転率がまったく違います。在庫を数百点持っていても、それぞれをいつ仕入れて、どれくらいで売れているのかが分からなければ、資金計画が立てられません。

WASABIの機能では対応できなかったのでしょうか?

畔柳さん

WASABIはあくまで在庫管理・出品管理のツールで、分析ツールではないんですよね。売上集計のような最低限の数字は見られるんですが、リードタイムやブランド別・カテゴリ別の売れ行きを分析する機能はありません。ただ、データ自体は「何月何日に登録して、何月に売れた」という形で細かく残っています。このデータをうまく使えないかとずっと考えていました。


Squadbaseで作った2つのダッシュボード

実際に作ったダッシュボードを教えてください

畔柳さん

WASABIからCSVを出力してSquadbaseに取り込み、2つのダッシュボードを作りました。「受注リードタイム分析」と「不良在庫管理」です。

受注リードタイムの方では、ブランド別・カテゴリ別に、仕入れてから売れるまでの日数が見られるようになっています。例えばTシャツやポロシャツといったカテゴリ別の売れ行きです。全体のリードタイムの中央値が30日のところ、5月はシャツが11日で売れている、ということが分かります。つまり「5、6月はシャツを中心に仕入れれば売れる」という判断が、データに基づいてできるようになりました。今まで感覚的にやっていた仕入れが根拠を持ってできるようになると、回転率も利益率も上がっていきます。

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不良在庫管理の方はどのような仕組みですか?

畔柳さん

仕入れから半年(180日)経ったものを不良在庫と定義して、自動で判定・更新される仕組みにしています。6月なら前年12月に仕入れたものが不良在庫になり、7月になれば1月仕入れ分が対象になります。これを自動でやってくれて、変化があれば分かるようになっています。

在庫って資産なんですよね。例えば在庫が総額2,000万円分ありますといっても、実はそのうち2〜3割が不良在庫でした、となると話が変わってきます。不良在庫は多少赤字でもいいから現金化して、その現金をリードタイムの短い、売れる商品の仕入れに回します。投資で言えば、伸びない株を損切りして伸びそうな株に投資するのと同じです。このサイクルを回すと回転率が上がって、お金が増えていきます。

実際にダッシュボードを見て行動が変わった場面はありましたか?

畔柳さん

ありました。銀行口座のキャッシュが心もとないというタイミングで、ダッシュボードで不良在庫を洗い出して、法人向けオークションにまとめて出品し、現金化したことがあります。オークションならすぐに現金化できるからです。今までなら、こうした商品はずっと在庫として残り続けていたはずです。仕入れすぎてキャッシュが厳しくなったときの、まさに生命線になりましたね。

作り込みにはどれくらい時間がかかりましたか?

畔柳さん

納得いく形になるまでトータルで2時間くらいです。最初の型を作るのに1時間くらいで、あとはチャットで会話しながら調整していった感じです。一度型ができてしまえば、月次の更新はCSVを取り込むだけです。月1回更新して、結果をメンバーに共有しています。


成果 - データが経営と戦略の中心に

導入後、経営にどのような変化がありましたか?

畔柳さん

まず、仕入れの意思決定の質が変わりました。ダッシュボードを見ながら「受注リードタイムが短いものから優先的に仕入れる」「リードタイムが長い商品は売れない商品だから後回しにする」という会話が毎月できるようになりました。リードタイムをKPIにすると、見るべき指標も変わってきます。「中央値30日、つまり1ヶ月で売り切る」という目線で仕入れと販売を考えられるようになりました。

数字の面では、4月・5月と目標を達成していて、売上は昨年比で約1.7倍成長です。もちろんすべてがダッシュボードのおかげとは言いませんが、リードタイムという概念がチームに浸透して、データを持ったことで意識が変わったのは間違いありません。不良在庫の比率も、可視化した当初は仕入れ総額の15%程度あったものを、現金化を進めて圧縮できています。

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他のAIツールとの違いはどこに感じますか?

畔柳さん

実はClaude Codeなどでダッシュボードを作ることも試していました。ただ、チャットでの分析はワンショットで終わってしまうんですよね。その場限りの分析にはなるけれど、データが蓄積されません。

Squadbaseの一番の強みは、永続的に更新し続けられることだと思います。データベースが入っているので、CSVを取り込むたびにデータが積み重なっていきます。不良在庫は時間が経つにつれて変わっていくものなので、パッと開いたときに最新の状態が見られることに価値があります。出して終わりではなくて、日が経つにつれてデータに反応していけるのが一番いいところですね。

今は月1回のCSV更新ですが、今後はSquadbaseでWASABIとAPI連携させて、エージェント機能で週次レポートを自動で届けてもらうつもりです。より新鮮なデータをもとに、仕入れと販売のPDCAを速く回していきたいですね。


今後の展望 - キャッシュフロー全体の可視化へ

レポートの自動化のほかに、今後挑戦したいことはありますか?

畔柳さん

入出金の管理です。トランザクションのような積み重なっていくデータは、入力フォームを作ればSquadbaseのDBに蓄積していけるので、キャッシュフロー全体の可視化までやりたいと考えています。在庫は資産なので、現金と在庫のバランスをどう取るかが経営の要になります。もはや財務のバランスを見るためのツールとして、これらのダッシュボードが経営と戦略の中心にある感覚です。

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同じような事業者の方へメッセージをお願いします

畔柳さん

ECで売上を伸ばすなら、リードタイムをKPIにすべきだと思っています。でも、それを出せるツールは意外とないんですよね。在庫を持つビジネス、複数のプラットフォームで販売しているビジネスなら、リユースに限らず、他の業態でも同じ構造だと思います。感覚でやっていた仕入れや販売の判断材料がデータ化されるだけで、仕入れ力も販売力も確実に強化されます。まずは手元のCSVを取り込んで、試してみてほしいですね。