AIが分析を始めるまでの待ち時間を減らす:Squadbase DBにTiDBを採用した理由


データの変化にAIが気づき、必要な人に知らせる。気になった点は、そのまま自然言語で確かめられる。Squadbaseが目指す「データが話しかけてくる世界」は、こうした体験です。
Squadbaseでは、分析したいときに環境の準備を意識せずデータを使える体験を目指しています。データへの接続を組織で管理し、複数のプロジェクトから利用する「組織レベルのコネクション」への移行に合わせ、DB基盤も見直しました。
重視したのは、起動の速さと安定性、日本国内でのデータ保管、そして利用が広がっても継続して運用できるコストです。これらの要件に合うTiDB Cloudを、新規のSquadbase DBに採用しました。
分析の使いやすさから考えたDB選定
Squadbase DBは、AIエージェントがデータの保存や分析に使う組み込みのデータベースです。新しいプロジェクトを始める際も、同じ組織の既存のコネクションを選べば、そのDBに蓄積したデータを使って分析できます。
Squadbase DBでは当初、Neonを採用しました。AIサービスでの採用実績があり、PostgreSQLのエコシステムを活用できる点を評価していました。
組織レベルのコネクションへの移行にあたっては、組織ごとのデータを分離しながら、必要に応じてDBを追加できる運用を重視しました。利用開始時の待ち時間を短くし、利用組織やコネクションが増えても安定して使えることも欠かせません。日本のお客様向けのデータ保管先と、利用拡大に伴うコストも含めて、基盤を改めて検討しました。
TiDB Cloudは、SQLでDBを作成・初期化でき、東京リージョンも選べます。Instance Capacity Planは、組織ごとに独立したインスタンスを増やしていく運用を支えます。こうした機能と運用モデルが技術面とコスト面で要件に合っており、Squadbase DBへの採用を決めました。
速さと安定性を支えるDBの構成
Squadbaseでは、新しいDB環境にTiDB Cloud Starterを利用し、組織ごとにインスタンスを割り当てています。その中にコネクションごとのDBを作成し、組織内の複数のプロジェクトから利用できるようにしています。エージェントが別のDBのデータを誤って操作しないよう、接続情報には対象のDBだけを読み書きできる権限を設定しています。

組織が初めてSquadbase DBを使うときは、インスタンスを作成して稼働状態になるまで待ちます。その後、DBの作成、ユーザーの設定、権限の付与を、SQL接続を通じて順に実行します。同じ組織でDBを追加する場合は既存のインスタンスを使えるため、インスタンスの作成からやり直す必要はありません。
インスタンスの起動後は、DBの作成から権限設定までを一連のSQL処理として扱えます。管理APIで作成したユーザーのSQL側への反映を待つ工程がなく、各処理の成功を確認してから次へ進められます。同じインスタンスの重複作成を防ぐ制御も組み込み、DBが使える状態になるまでの各段階を確認しながら進める設計にしています。
NeonのPostgreSQLからTiDBのMySQL互換SQLへ変わるため、エージェントに伝えるDBの情報や、データを書き込む処理も調整しました。この違いはSquadbase側で扱い、利用者が自然言語で分析を依頼する体験を維持しています。
利用者の体験につながる3つの変化
利用開始時の待ち時間と安定性
実際の運用では、インスタンスの初回起動も多くの場合10秒未満で完了しています。
同じ組織で2つ目以降のDBを作成するときは、既存のインスタンスにSQLでDBとユーザーを追加し、権限を設定します。アプリケーション側でインスタンスの新規作成や再開を待つ工程を挟まず、接続の確立からSQLの実行へ進めます。分析用途を増やす際にも、初回のインスタンス準備を繰り返す必要がありません。
利用者にとっては、起動の速さとともに、必要なときに分析へ進めることも大切です。DBの初期化では、処理の完了を確認して次へ進む順序を明確にし、利用開始までの安定性を支えています。初めて使うときも新しい分析を試すときも、環境の準備を意識せずデータに向き合えることを目指しています。
日本のお客様向けDBを東京へ
日本のお客様向けに新しく用意するTiDB環境は東京リージョンを選びました。以前の自社構成では米国リージョンを使っており、今回の配置ではエージェントの実行環境とDBの通信距離が短くなります。
エージェントはデータの中身を確かめ、集計し、その結果をさらに確認するため、DBへの問い合わせを繰り返します。一度の通信で生じる待ち時間が小さくても、往復が重なれば分析の応答に影響します。DBを近くに置くことは、こうした日々の待ち時間を減らすための選択です。
東京リージョンへの配置は、日本のお客様が組織レベルのコネクションで新しく作成するSquadbase DBに適用されます。そのDB内のデータを国内で保管できるため、国内保管を要件とする組織にとっても導入検討に関わる変更です。
組織ごとの独立性を保った利用拡大
TiDB CloudのInstance Capacity Planは、組織ごとに独立したDB環境を提供するSquadbase DBの運用を支えています。利用組織が増えても、この構成を保ちながらインスタンスを追加できます。
新しい組織には新しいインスタンスを用意し、同じ組織内でDBを追加するときは既存のインスタンスを使います。
「データが話しかけてくる世界」を支えるために
Squadbaseは、AIが日々のデータの変化を捉えて必要な人に知らせ、その理由を自然言語で確かめられる体験を目指しています。気づきを次の行動につなげるまでの流れを、日々の業務に組み込んでいきます。
この体験には、データの取り込み・更新を自動化する仕組みと、利用者の問いに応じた分析がつながっていることが欠かせません。組織レベルのコネクションで共有するデータを、AIによる変化の発見にも、人が理由を確かめる分析にも使える構成を発展させていきます。
TiDBのデータの更新と分析を同じDBで扱える特性は、この方向に合っています。データ量や分析の頻度が増えても、応答の速さと持続的に運用できるコストを両立することを重視しています。今回の採用を土台に、データから気づきや判断を得る体験をより多くの業務へ広げていきます。


