非エンジニアがExcelでの分析業務をClaude Codeに置き換える価値 - Streamlitで可変ダッシュボード開発

Excelは、簡単な集計や定型の繰り返し作業には相性が良く、手早く形にできるツールです。必要に応じてマクロで自動化もできます。
一方で、「今回は拠点別」「次はカテゴリ別」「四半期の比較も、前年同期比も」と分析依頼の切り口が変わるたびに、ピボットの組み直しやVLOOKUPの貼り替え、マクロの修正が発生しやすく、作業が積み上がっていきます。さらに、特殊な計算や高度なビジュアライゼーションが必要になると、Excelの機能では表現しづらく、無理に作り込むほど手間が増える、という煩わしさも生じます。
これらの課題を解決する方法として、AIを活用してコードでダッシュボードWebアプリを作成する方法があります。 本記事では、Claude CodeというAIコーディングエージェントツールを用い、これまでExcelで手動実行していたタスクをアプリ化する方法を解説します。また、ダッシュボード開発には、手軽にWebアプリケーションが作成できるPythonのフレームワークであるStreamlitを使います。
コードでダッシュボード作成をするメリット
Excel運用と比べたときの、コードでダッシュボード作成をする利点は以下の通りです。
1. 最新データを常に共有 API連携やページ更新により、関係者全員が常に最新のデータを確認できます。「このデータ古くない?」という確認作業がなくなります。
2. URLで簡単共有 作成したダッシュボードはURLひとつで簡単に共有できます。メール添付やファイルサーバーでの管理が不要になります。
3. オリジナルのインターフェースで業務フローに最適化 ゼロベースで構築するため、あなたの業務フローに完全に合わせたオリジナルのインターフェースが手に入ります。既存ツールの制約に縛られることがありません。
Claude CodeとChatGPTの比較
「AIを活用してコードを作成するなら、ChatGPTでも良いのでは?」と思われるかもしれません。しかし、分析業務において、Claude Codeには以下の優位性があります。
項目 | ChatGPT | Claude Code |
---|---|---|
コード実行 | 不可(コピペが必要) | 直接実行可能 |
データ理解 | ファイル内容を把握困難 | データの中身を理解して指示も出しやすい |
共有方法 | コードのみ | 実際のアプリ(URL) |
デバッグ | 手動 | 自動エラー修正 |
Claude Codeでダッシュボード作成をする最大のメリット
以上の優位性がある上で、Claude Codeでダッシュボード作成をする最大のメリットを説明します。
毎回変わるリクエストに即応
Claude Codeに指示を投げるだけで、数秒から数分でコードを生成し、ダッシュボードが作成できます。毎回変わるリクエスト、複数ファイルを横断する分析に対しても、即座に対応することができます。
例えば以下のようなケースが挙げられます。
- 「拠点別売上を棒グラフで表示して」→ 30秒でコード生成・実行
- 「前年同期比を追加して」→ 1分で既存ダッシュボードを拡張
- 「いつもとは違う切り口で分析して」→ 5分でClaude Codeとデータを探索しながら分析アイディアを検討し、開発要件として組み込みコード生成・実行
実際にClaude Codeを動かす
ここで実際の作業を見ていただきたいと思います。実際の操作感をお伝えします。
想定シナリオ
経営陣から「各拠点の収支状況を整理して、来期予算の参考にしたい」という依頼が来ました。今回使用するデータは拠点ごとの各取引先との収支データで、1年半分の履歴があります(5万行)。
第1段階: 基本的なダッシュボード作成
まず、拠点別の収支データを可視化してみます。
この動画で注目してもらいたいのは以下の点です。
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データの自動理解
Claude CodeはExcelファイルのデータ構造を瞬時に把握します。列名、データ型、文字化けまで自動で認識して処理してくれています。
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コード生成の速度
自然言語での指示から、実際に動くStreamlitアプリケーション作成まで、わずか1分ほどで完成します。
第2段階: 機能追加
基本的な可視化ができたところで、「拠点でフィルタリングできるようにして、あと四半期の前年比較も見たい」という追加要求が来たとします。
このように新しい機能がスムーズに追加されました。
実運用における効果
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時間の使い方が根本的に変わる
追加機能の実装もわずか1分ほどで完了することができました。浮いた時間で、データから見えてくる課題や改善策について考える時間が確保できます。
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「思いついたらすぐ試せる」感覚
「こういう角度で見たらどうだろう」と思った時に、すぐに試せる環境があるのは想像以上に価値があります。分析の幅を格段に広げることができます。
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データの深掘りがしやすい
Excelだと「この分析をするにはもう一度ピボットテーブルを作り直さないと…」となりがちですが、Claude Codeなら追加の指示を出すだけで済みます。
実際のアプリケーションの作成方法について
Claude Codeを使った具体的なダッシュボードの作り方や詳細な手順については、実践的なガイドを別途用意しています。
Ebook:ノンデベロッパーのためのClaude Code実践ガイドでは、以下の内容をステップバイステップで解説しています。
- Claude Codeを扱う開発環境のセットアップ
- Claude Codeの基本的な使い方
- ダッシュボードの構築方法
- よくあるエラーと対処法
組織内でのセキュアなアプリ共有
作成したアプリケーションを「チームメンバーに共有したい」「実際に使ってもらいたい」という場合、デプロイが必要になります。
Squadbaseでデプロイを行えば、追加コード無しで自動的にユーザー認証とアクセスコントロールをアプリに付与できます。チーム外部へのデータ漏洩や組織内の不正データアクセスを防げるため、アプリケーションを組織内に配布する際はSquadbaseでのデプロイが最適です。
Streamlitアプリのデプロイ方法についてはこちらのドキュメントで詳しく解説しています。
まとめ: 分析業務から戦略立案へのシフト
AIを活用したダッシュボード作成により、これまで分析作業に費やしていた時間を大幅に短縮でき、戦略立案や改善提案に、より多くの時間を充てることができるようになります。
毎回変わるリクエストに振り回されることなく、データドリブンな意思決定をスピーディに実現していきましょう。