非エンジニアが「コーディングは無理」だと感じてしまう4つの思い込み

はじめに:AI時代は誰もがエンジニアになれる
「アプリ開発なんて、エンジニアじゃなければ絶対に無理」
もしそう考えているとしたら、すでに潮流が変わっていることをご存じでしょうか。
近年、生成AI技術の爆発的な普及により、アプリケーション開発の世界は根本的に変わりました。ChatGPT、Claude、Geminiなどの生成AIツールと、Vercel、Render、SquadbaseといったPaaS(Platform as a Service)の組み合わせによって、非エンジニアでも数時間でWebアプリケーションを構築・運用できる時代が到来しました。
DX推進やAI推進の担当者であれば、おそらくこんな経験をしているでしょう:
- ノーコード・ローコードツールでプロトタイプは作れたが、実用化の壁に直面
- AIアプリは作れたけど、おもちゃレベルから抜け出せない
- IT部門への依頼は時間がかかり、スピード感のある業務改善ができない
この記事では、多くの非エンジニアが抱く4つの根深い思い込みを検証し、それらが実は過去の常識に過ぎないことを明らかにします。読み終える頃には、「自分にもアプリ開発ができるかもしれない」 という新しい可能性を感じていただけるはずです。
思い込み①「プログラミングは専門家のもの」
従来の常識:コードは「書く」もの
これまでプログラミングは、複雑な文法や関数を覚え、数千行のコードを手で入力する専門技術でした。エラーが出れば原因を特定し、デバッグに何時間もかかることは日常茶飯事。確かに、この時代であれば「プログラミングは専門家のもの」 という認識は正しかったでしょう。
新しい常識:コードは「生成」するもの
しかし、現在、プログラミングは「書く」ものから「対話で生成する」ものに変わりました。
生成AIを使えば、自然言語のコメントを書くだけで、AIが適切なコードを自動生成します。
従来のプログラミング | 生成AIによるプログラミング |
---|---|
コードを1行ずつ手で書く | 自然言語で要求を伝える |
文法エラーとの格闘 | AIが文法チェックを自動実行 |
数ヶ月の学習期間 | 数時間で動くアプリが完成 |
エラーの原因調査に数時間 | AIがエラーを解析・修正提案 |
実践例:売上管理システムを5分で作成
実際に、生成AIを使って簡単な売上管理システムを作ってみましょう。生成AIに以下のように依頼します:
「月次売上を入力・表示・CSV出力できるWebアプリケーションを作って。
React + Node.jsで構築し、データベースに関してはGoogle SpreadSheetのこの{URL}を使って構築したいです。」
この一文で、以下のような完全に動作するアプリケーションが生成されるはずです
- フロントエンド(React)
- バックエンドAPI(Node.js + Express)
- SpreadSheet 連携に必要事項(API情報など)の洗い出し
- CSV出力機能
- デプロイ設定ファイル
これまでエンジニアが数日かけて構築していたシステムが、わずか5分で完成するのです。
思い込み②「アプリを作れるようになるまで膨大な学習コストがかかる」
従来の常識:段階的な学習の必要性
従来のプログラミング学習は、以下のような段階的なプロセスが必要でした:
- プログラミング言語の基礎文法(2週間)
- フレームワークの習得(2~3週間)
- データベース設計の理解(2~3週間)
- インフラ・サーバーの知識(2~3週間)
- 実際のアプリケーション構築経験(1~2ヶ月)
合計すると、実用的なアプリケーションを構築できるまでに最低でも3~6ヶ月の学習期間が必要とされていました。
新しい常識:作りながら学ぶ時代
生成AIの登場により、「学んでから作る」から「作りながら学ぶ」にパラダイムが完全に変わりました。
学習要素 | 従来の方法 | 生成AI時代 |
---|---|---|
基礎文法 | 書籍・オンラインコースで暗記 | 必要な時にAIに質問 |
エラー解決 | Stack Overflowで調査 | AIが即座に解析・修正案提示 |
ベストプラクティス | 経験を積んで習得/Webで調べる | AIが最新のベストプラクティスを自動適用 |
コードレビュー | 先輩エンジニアに依頼 | AIがリアルタイムで改善提案 |
実践例:24時間AIメンター
生成AIは、まさに24時間利用可能な優秀なメンターとして機能します:
質問例1:「このエラーメッセージの意味がわからない」 →AIが即座にエラーの原因と解決方法を日本語で説明
質問例2:「この機能を追加したいけど、どうすればいい?」 →AIが完全なコード例と実装手順を提示
質問例3:「リポジトリってなに?」 →不明な単語が出てきてもわかりやすく解説
従来であれば質問するのに躊躇していた「初歩的な疑問」 も、AIには遠慮なく何度でも質問できます。
思い込み③「サーバー構築は複雑すぎる」
従来の常識:インフラ構築は複雑
「Webアプリを作るにはサーバーが必要でしょ?」 「AWSの設定なんて、インフラエンジニアじゃないと無理」
確かに、従来のサーバー構築は複雑でした。サーバー設定、SSL証明書、デプロイ、監視・バックアップ、スケーリング...これらすべてを理解し設定するには、専門的な知識と豊富な経験が必要でした。
新しい常識:PaaSがすべてを自動化
現在のPaaS(Platform as a Service)は、これらの複雑な設定をすべて自動化しています。
サーバー構築の要素 | 従来の方法 | PaaS(Vercel/Render/Squadbase) |
---|---|---|
サーバー設定 | Linux コマンドラインで手動設定 | 完全自動化 |
SSL証明書 | 証明書の手動設定 | 自動取得・更新 |
デプロイ | FTPまたはSSHでファイル転送 | GitHubプッシュで自動デプロイ |
監視・バックアップ | 監視ツール設定・cron設定 | 自動実行 |
スケーリング | サーバー増設・ロードバランサー設定 | 自動スケーリング |
実践例:30秒でアプリをデプロイ
生成AIで作成したアプリケーションをSquadbaseにデプロイする手順:
- Squadbaseでリポジトリを選択
- GitHubにコードをプッシュ
- 自動でデプロイ実行
たったこれだけで、世界中からアクセス可能なWebアプリケーションが完成します。 サーバー設定、ドメイン設定、SSL証明書、CDN設定すべてが自動的に構成されます。
思い込み④「運用開始後が大変そう」
従来の常識:運用後の機能改善が大きな負担に
「アプリを作った後の運用が大変でしょ?」 「使い始めてからの機能追加はどうすればいいの?」
確かに、従来のWebアプリケーション運用後のオペレーションは大きな工数がかかっていました
- 改善項目を現場で洗い出し
- 開発工数との兼ね合いで優先順位を決定
- 改善点の修正実装
- 現場で再度検証
これらの作業には、開発サイドと現場サイドのコミュニケーションを含め大きなコストと時間がかかっていました。
新しい常識:現場手動での改善
現場手動でアプリの開発をする大きなメリットの一つが、作る人と使う人が同じという点です。
最も現場のことがよくわかっている担当者自ら開発をすることで、一人称視点でのアプリ開発が可能になり、開発の手戻りが少なく、オペレーションもスムーズに進行します。
また、修正も生成AIを活用することで、開発同様従来よりも格段に手軽に行うことが可能になりました。
終わりに
ここまでお読みいただきありがとうございます。 アプリ開発はエンジニアの専門領域である。そんな「思い込み」が、少しでもほぐれていれば嬉しく思います。 現場の担当者の方が本当に価値を発揮できるのは、業務課題を深く理解し、的確な解決策を描ける力です。 技術的な実装は、生成AIが頼れるパートナーとなり、あなたは本来の専門性に集中できる。 これは、まさに新しい時代の理想的な役割分担だと考えています。 「自分にもアプリ開発ができそう」 少しでもそう思っていただけたら幸いです。